なんだかんだ言って、ぼぅっと鈴木さんのことを考えてしまう時間は、まだまだあります。
ただそれは「好きだから」というよりも、自分や相手の感情について考えている、という感じで、以前のように「どうしたら好かれるかな?」とか「彼は私のことをどう思ってるかな?」とかでは無いですが。
会社内で失恋をすると気まずいと思う人は、そもそも同僚を好きになってはいけない
とネットの相談の回答欄によく書いてありますが、まーそうやって感情をコントロール出来る人もいるのでしょうが、私としては
「同僚だから好きにならない」
なんて言い切るのは、つまらないなぁと思います。
とは言え、20代の頃の私なら、今の状況では仕事なんか手につかないくらい落ち込んだり、友達に愚痴を言ったり、泣いて過ごしただろうなぁ。
実体験でも、友人の話を聞いても、ネットの恋愛相談を読んでいても思うのは、
「脈アリかも?」と思うことについては長時間楽しく考えるのに、
「明らかに脈ナシ」なことについては、一時的には考えて激しく落ち込んだり、なんだか違和感を感じたりするのに、そのままフワッと記憶の底にナイナイしてしまうことにより、現実から目を背けてしまう人がいる、ということです。
私は割とインスピレーションを重視するタイプの人間なのですが、鈴木さんを好きな間、何となく胸の中にモヤモヤとした違和感を感じていました。
年齢差があるから?
釣り合わないと自分で分かってるから?
鈴木さんを好きだなんて図々しくてみっともない、と自分で思っているから?
鈴木さんとどんなに笑い合って、可愛い文体でメールやLINEを送りあっても、上っ面だけな感じがするから?
神社でお願いごとをする時も
「鈴木さんと両思いになれますように」
と願うのには、何だか違和感がありました。
結局のところ、振られる直前に鈴木さんが私に言った言葉や行動は、好かれていることに調子に乗った上から目線なチャラ男のモノだったので、
「あー、あんなに会社内では優しく笑顔で話せてたのに、この人は内心は、女としての私を見下してたんだ」
と気付いて、ガッカリしました。
そんな人を、乙女心全開でドキドキキュンキュンハラハラしながら、ずっと見つめて、頑張って仲良くなろうとしてたんだなー、と思うと、あのモヤモヤした違和感はコレに内心気付いていたのに、見て見ぬ振りをしていたからだな、と今は分かります。
こういう、人とのコミュニケーションの中で、何とも言えない「モヤリとした違和感」を感じる時は、恋愛以外でもあります。
というか恋愛以外の方が顕著です。
会話の途中で雰囲気が悪くなった時って、お互い何となく気付く違和感がありますよね?
空間に急にグレーの曇り空が現れた、みたいな。
最近だと、親しくしていた同僚との間に、この違和感が現れてしまいました。
これまでは、ちょこちょこと短い会話を楽しむ分には気があっていたんですが、頻繁に話をするようになってみたら、違和感が生まれてきてしまいました。
長年の付き合いの友人同士で話している時も、たまにこういう違和感が生まれる瞬間はあります。
でも何となく会話が途切れた後、また別の会話が始まって、また盛り上がれたりもします。
こういう流れの中の違和感と、
「やっぱりこの人とは長い付き合いはしていけないかも?」
という違和感は別物なのかな?
それとも、長年の付き合いだからそれを流してやっていけるけど、これまで深い付き合いをしていない人だと、お互いに生まれた違和感は越えられないんでしょうか?
ただ恋愛に関しては、こういう「なんとなく感じる違和感」は、後々に「やっぱり無理」に変わる可能性が高いと言いますね。
どこか合わない部分が見えてきた最初のキッカケが違和感なのかもしれません。
私が鈴木さんに感じていた違和感は、
「表面的に会話を楽しむ分には良いけど、素の自分を晒して分かり合える間柄にはなれない」
というものだったと思います。
きっとお互いに誤解している部分もあるかもしれないけど、そこを分かり合おう、向き合おうとし合えない間柄。
親しくしていた同僚に対しても、なんとなく信用しきれないような、何もかもは話せないような違和感を感じてしまいました。
言葉でハッキリ、これが理由、というのは言えないのですが
「この話題はここだけのもの」
という風に思えない、というか
「こんなに噂好きな人に本音を話したら、誰か別の人にも話されちゃうかも?」
と思ってしまって、ブレーキをかける自分がいます。
私もまぁ噂好きだし、口が軽い方ではあるんですけどね。
下手に秘密にしなきゃいけないことなら、そもそも聞きたくないし。
でもそういう線引きって人によって違うから難しいなぁ。
この同僚に関しては、あちらが私より年上の既婚者だったこともあり、なんとなく壁の向こうから観察されている感がありました。
たまたま宗教の話題になった時に
「神社とかよく行くって言ってたから、もしかして何か宗教やってるのかな?と思ってた」
と笑いながら言われたときの、あのちょっとニヤニヤした目付きも、違和感を感じたキッカケだったかもしれません。
「あ、この人ずっと、私のことを新興宗教に入るかもしれない信用出来ない人って思ってたんだ」
と思って、ちょっと興醒めしちゃったんですよね。
ちなみにアレコレと鈴木さんを褒めたり貶したりしていますが、彼が私とのことは誰にも言わないだろう、とは信頼しています。
そんな「俺、あの人に好かれたけど振った」なんてことを自分からペラペラと話す人では無いと思うので。
まー単に自分のことは他人から聞かれなきゃ答えない人だからってだけの信頼ですが、それも男性によっては話す人は話すしなぁ。
なんとなく生まれた違和感が、好意があるからと見逃されてしまうこともあるし、
違和感が当たってお互いなんとなく疎遠になっていくこともあるし、アレの正体が何なのかいまだによく分かりません。
ただあの違和感は、面と向かっている時だけでなく、メールやLINEでも生まれます。
それが出てくると、両肩を重い濡れた毛布で覆われたような、酸素が少し薄くなったような目隠しの手で顔を覆われたような、なんとも言えない疲れのようなモノが感じられます。
でもなんか最近ネットで読んだんですけど、大好きだった人意外と結婚した方は、そういう違和感を数年感じながら結婚生活を送り、子供が出来、
「私にはこの人だったんだな」
と思うようになる人もいるそうなので、必ずしも違和感のまま人と距離を置く必要は無いのかもしれません。
最終的に、自分が感じる違和感を信じるかどうかは自分次第。
ただ、なんとなくものすごく自分の中に勢いを感じて突っ走れる時もありますからね。
違和感を感じたときは、少し立ち止まって
「何故私はこの人に違和感を感じたんだろう?」
と考えてみるのも良い気がします。