昨夜目の前で彼氏に頭を掴まれていた友達から
「嫌な思いさせてごめんね。また時間あったら飲みに行こうね」
とLINEが来ました。
この最後の「時間あったら」という社交辞令のような言葉にちょっと引っかかっています。
「また飲もうね」と言い合うことはこれまでもありましたが、「時間あったら」が付いたということは
「うららとは、しばらく飲みに行きたくない」と思っているか
「うららは、もう私と飲みたくないかもしれない」
と思っているのかもしれません。
彼氏がやったDVは、普通のことだとは思いません。
初対面の人の前で彼女の頭を掴んで引き寄せ
「お前、調子に乗ってんじゃねーぞ!外出ろ!」
なんて言う人は、きっとこれまでも友達を恫喝するような物言いをしてきているのでしょう。
私の父もDVをする人で、子供の頃はずっとビクビクしていたし、今も父と話すのは居心地が悪く、2人きりで話すことはほぼありません。
食事中に急に不機嫌になって怒鳴りだすとか、イライラし出すのが普通のことではない、ということに、私は大人になるまで気付きませんでした。
私はキチンとした交際はほぼしたことがありませんが、学生時代に好きだった男性に弄ばれた時には、ニヤニヤと笑いながら暴言を吐かれたり、侮辱するような行為をされたことがありました。
夏に2〜3日お風呂に入ってない彼に奉仕させられた、というのは、当時は
「私が彼のことを好きなんだから、耐えて文句を言ってはいけない」
と思っていました。
これは、もし今好きな男性にされたとしても、その場で強く断るとか、自分からその場を去る自信がありません。
子供の頃からDVを見てきた私にとって、暴力は許されないことだけれど、好きな男からされたら耐えなければいけないものだ、という刷り込みがあるのかもしれません。
それは冷静になって考えると、とても悲しい価値観だと思います。
この学生時代の人以外に、そこまであからさまに私に酷いことをしようとした男性はいませんでした。
でもその次に好きになった男性が初めて家に来たときは
「コンビニに◯◯を買いに行けよ」
と半笑いで言われて、
「は?」
と言い返したら
「あー俺が行ってきますー」
と言いながら引き下がられたことがありました。
それまでは、敬語で話していて、愛想の良いイケメンだったんですけどね。
(ちなみに一目惚れした学生バイトの店員さんでした)
鈴木さんの前に好きだったバブリーな男性は、電話中に怒鳴りだしたことがありました。
この3人の男性たちは、私に好かれていて、そして私のことを好きではなかったので、そういう態度を取っても良いという扱いをしてきていたと思います。
多分本命の女性、彼女にはそんなことはしないし、言わないのでしょう。
元彼と付き合っていた時、そんな酷いことを言われたり、されたことはありませんでした。
別れた後も会い続けていた時は、不機嫌になってそっぽを向く彼にオロオロしたことはありますが、付き合っていた時は一度嫉妬っぽいことで冷たい物言いをされ、私が驚いていたらすぐにフォローしてくれたことがあったくらいです。
不機嫌になった時も、私がワガママを言ったり嫌味を言った時で、一方的に不機嫌になったことはありませんでした。
この元彼との経験のおかげで、私は
「自分だけが好きな状況で肉体関係を持つと、男性は軽んじて酷いことを言ったりやったりするけど、それは心を許してくれているからでは無い」
ということを認識しました。
実は鈴木さんも、私に対して調子に乗った物言いを何度かしていて、
「あぁ、またこのタイプの男を好きになっちゃったんだ…」
と我ながら呆れました。
仕事中は笑顔でニコニコして可愛い感じの鈴木さんは、飲みの席では私を小馬鹿にする発言をしたり、私の鞄にいきなり手を突っ込んだり(支払いを受け取らない私に無理矢理お金を渡そうとした時と、私が探し物をしていた時ですが)、
「ちょっと怖いなぁ」
と思う時がありました。
でも、やっぱり私は鈴木さんに
「そんな失礼な物言いを私にしないで」
と言えませんでした。
ただ、悲しいなぁと思って困惑した顔をしていました。
普段職場では気が強くハッキリした物言いをする私が、そういうドM丸出しな態度を取ってしまうと、鈴木さんは私にますます強気な態度を取るようになりました。
でも本当のことを言えば、そういう態度を「男らしい」と思って、ちょっとキュンとしてしまう自分がいるんです。
それが分かっているから、鈴木さんは調子に乗って、私に強気な態度を取ったんだと思います。
今も職場では基本的には礼儀正しく穏やかですが、少人数の場では鈴木さんは私にチャラい意地悪な物言いをします。
これ、他の人だったら私は絶対に許さないし、こちらから話しかけたりもしなくなるんですけどねー。
こうやって許してしまう自分のことに
「あぁ、私、今めっちゃ女らしい」
と満足してしまう部分があって、我ながら可哀想だなぁと思います。
怒っている男を宥めているとき
「私は今、女として正しいことが出来ている」
と思ってしまう女性は、多少なりいるんじゃないかな?と思います。
ドラマや映画でもそういうシーンは時々観ますし。
逆に怒る女性を上手に宥められる男性もいるし、感情の起伏は人それぞれ差はあっても、それなりにあるものだと思います。
ただ、その怒りを誰の前でも見せるか、彼女や奥さんにしか見せないか、その境目はありますね。
私はドMではありますが、やはり暴力を人前で振るわれたら、真剣に別れを考えると思います。
いや、2人きりの時でも、暴力を振るわれたら真剣に悩みます。
でもその男性のことが好きだったら、やっぱり許してしまうかもしれません。
私は柔らかい優しい話し方をする男性が好きです。
ただ、いわゆる優しい無害そうな男性は、お友達にはなるけど、恋愛対象にはなりません。
優しい話し方で、頭の回転が早くてポンポン楽しい会話が出来る男性=チャラ男、が好き。
そしてそんな男性が、2人きりのときはグイっと引っ張ってくれたりすると、メロメロになります。
ただ友達の彼氏のように、喧嘩っ早いタイプは好きではありません。
自分がカッとなりやすいタイプなので、そういう人と一緒にいたら共感出来て楽な部分もあるのですが、やはり心が安らげないのでキツイかな。
意見が衝突した時に言い合いになって手をあげられる可能性を感じたら、やはり怖いです。
そうなっても女は耐えないといけない、と思っているので、そんなストレスをあえて選びたくないです。
でも友達は、ハイスペックな彼氏のDVに耐えることを、自分の中で納得しているんだろうと思います。
彼女のお父さんも、カッとなると手をつけられないタイプだそうです。
お母さんは影で泣きながら、でもお父さんのことが大好きで、尽くしているそうです。
うちの母はそのストレスを子供たちにぶつける人でしたが、友達のお母さんは子供たちにも優しく接する、出来た女性だそうで、きっとそれが友達にとって理想の女性像なのだろうと思います。
友達は、自分が認められるスペックを持った男性のDVに耐えることで、自分は女として生きている実感が持てているのかな?と思います。
これはもう、外野が口出しできることではありませんよね…
怒りだした彼を困惑した笑顔で見つめる友達は、普段の侠気のあるカッコイイ強い女性の時と違い、柔らかな女性に見えました。
ま、でも浮気した時の話になったらキレてDVする男なんて、私は大事な友達の彼氏としてはいかがなものかと思うのですが。
しかし私がその彼氏並に友達の人生に責任を持つことは出来ないので、私は彼女の選択を見守ることしか出来ません。
あぁ、私はやっぱり、これまで結婚出来なくて良かったのかもしれません。
長年交際したり結婚したりしていたら、気付いたらDVに耐える女になっていたかもしれないから。
1人は寂しいけど、自由。
そうやってDVありきで男性を見てしまう時点で、家庭内でDVを見て育つことの影響の大きさを改めて認識しました。
ま、私もめっちゃキレやすいですけどねー。
それを好きな男性に、ちょっとおちゃらけた感じで宥められるのが好き。
あと、そういう時に全く動じずに普通に接されると
「ヤバイ!私だけが悪者みたいになってる…」
と思って、自分から甘えて和解しようとしちゃいます。
男女がお互いにどんな部分に惹かれて、許しあっているのかは、人によって違うから難しいですね。
とりあえず、人前でDVする男は、友達や家族に心配をさせるってことだけは忘れないで欲しいです。
友達がDVに耐えるのを悲しまない人はいませんからね。