今更ですが、お笑い芸人カラテカ「矢部太郎」の「大家さんと僕」を読みました。
発売当時から話題で、手塚治虫賞も獲ったので、既読の方も多いと思います。
私がこの本を知ったのは、発売当時に「王様のブランチ」で矢部さんの家を取材しながら名シーンを紹介しているのを見た時です。
これは良さそうだな、と思いましたが、ほのぼのした気持ちになる気分ではなく、買うタイミングを考えていました。
87歳の大家さんのお上品さ、トーク力、可愛らしさ。
絵も上手いし間も絶妙で、薄っぺらい感動お年寄りマンガではありませんが、後半泣けました。
あ、大家さんが亡くなった、とかではありません!
この大家さんは60年前くらいに一度結婚し、すぐに離婚してしまったと語っていました。
お話の感じから、元々かなりのお嬢様だったのでしょう。
兄と姉はすでに亡くなっていて、その兄の住んでいた部屋に矢部さんが今は暮らしているそうです。
87歳の大家さんは、毎日キチンと食事を作り、1人でも丁寧に季節を楽しみながら暮らしています。
アラフォー独身女性から見ると、とても素敵なおひとりさま人生に思えました。
もちろん、タクシーで伊勢丹に行って2千円のたらこを買えちゃう経済力あってこそ、の羨ましさもありますが。
大家さんのお上品さ、ユーモア、優しさ。
とても私に真似できるとは思えませんが、でも数十年かけてあぁなれたら良いな。
そして、もう一つ心に残ったエピソードがありました。
初恋の人と偶然再会し、今度お食事でも、という話になって喜んでいた大家さんが
「87歳の夏は今しかないんだものね」
と言って、矢部さんと共に
「これからスレてみよう!」
と話すシーンです。
結局、大家さんの初恋の方は、お食事に行く前に亡くなってしまいました。
年齢もありますが、でも私たちだって、いつ何があるか分からない。
今年の夏は、今年しかない。
だから、スレてみたいと思ったらスレても良い!
それは今でも、数十年後でも良い!
「大家さんと僕」は、とても話題だと知っていても、まだ読んでいない方もいるかと思います。
読んで、絶対に後悔しないどころか、誰かを大事にしたいと思える本です。
是非ご一読ください!