メインブログにも書きましたが、先日和歌山旅行に行ってきました。
昨年に引き続きだったため、「今回はどこに行きたい?」と聞かれた時、私が候補に出したのが「道成寺」です。
安珍清姫伝説に関してはメインブログに書いていますので、そちらをどうぞ。
元祖一目惚れストーカー女⁉︎道成寺へ!~和歌山旅日記 - 旅日記
元々漫画でこのお話は知っていました。
「花きゃべつひよこ豆」で有名な漫画家、篠有紀子の描いたお話だったので読んでいたのですが、史実を元にしたお話だったとは…
私にはどうにも、この清姫が可哀想なのかお馬鹿なのか分かり兼ねてしまいます。
一目惚れしただけの男に、ここまで入れあげてしまうもの?
どんなにイケメンでも相手は僧侶。
しかも熊野詣での途中に、たまたま家に一度泊めただけの男。
「一泊だけでなく、もう少しこの家にいて」
「じゃあ、熊野詣での帰りにまた立ち寄りますから」
と言われて、待っていたけど来ず、走って追いかけた末に蛇に変わって男を焼き殺す…
これ、昔話だからなのかな?
八百屋お七も一目惚れした男に再度会いたくて家事を起こしましたが、こちらも史実と言われています。
でも、からだの関係を持った末でなければ、そこまで追うかな?と思ってしまうのです。
安珍は僧侶でありながら、夜這いにきた清姫と関係を持ってしまった。
それを悔いて、また来ると嘘をついて逃げた…
なら、まだ納得がいくんです。
清姫は少女ではなく未亡人とか既婚者だったという説もあるそうですが、それなら尚更、一目惚れしただけの男にここまで執着するかな?
今の生活に不満があって、そこから逃げ出したかった?
「この男と一緒になれれば、今より幸せになれる!」
と思ったのかな?
それでも相手が僧侶なら、諦めるような気がしなくもない。
まぁ昔の設定の漫画を読むと、僧侶と関係を持った女性の話はいくつかあります。
ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の原作漫画を描いた海野つなみの「後宮」は、「とばずがたり」が題材となっていますが、こちらでも阿闍梨から迫られて子供を産んでますし。
不思議なことに、「安珍清姫伝説」は最後は安珍と清姫が仲良く?成仏した上に、2人は熊野権現と観世音菩薩の化身だったとされています。
道成寺では2人がまるでお雛様とお内裏様のように並んでいる姿が飾られていました。
口元を袖で隠す清姫は可愛らしく、まるで夫婦のように並んでいることに違和感を感じました。
だって、安珍は嘘をついて逃げまくったのに…
結局このお話の中では、逃げる男を追って焼き殺した清姫は責められていません。
可哀想なのは、安珍と清姫、どちらなのでしょうか?
現代なら、清姫は恐ろしいストーカーなんですけどね。
そんな清姫をも成仏させてくれる千手観世音菩薩の力が偉大だということなのかしら?
安珍を追い続け、もうどうにもならないと分かっていても引き返せない清姫の気持ち、私には分かります。
でも、いつまでも追ってくる清姫を怖いと思った安珍の気持ちも分かります。
「男女がここまで拗れたら、もうどうしようもありませんね」
道成寺で絵巻物を見せながらお話してくれた方が言っていました。
でもこの物語では、男女のどちらが悪い、と一刀両断していません。
本当は、清姫が早々に諦めていれば良かったんでしょうけど…
よくある話では、こうして思い詰めた末に、清姫は出家して尼になるパターンな気がするけど、そうしなかったのが不思議と言えば不思議。
「どうして、あんな嘘をついたんだろう?
私のことが面倒だと思ったんだ…
だったらハッキリ、そう言ってくれたら良かったのに。
何日も帰りを待つ間、あんなに楽しみにしていたのが馬鹿みたい。
期待させるなんて酷い」
そんな気持ちが渦巻いて、いてもたってもいられずに、清姫は安珍を追ったのでしょう。
この気持ちが分かる人が多いからこそ、能や歌舞伎で今も人気な演目となっているのかもしれません。
こういう執着心には、今も昔も無いんだなぁ、と改めて思いました。
和歌山に行かれることがありましたら、ぜひお立ち寄り下さいませ。