その後結局、元彼と元彼の友達から返信はありません。
でもそれは分かっていたことなので、特に辛くも寂しくもありません。
単にメールした時は、一時的に恋しくなっただけです。
私は私で、イケ魚を見て笑ったり、満島ひかりちゃんの舞台を楽しんだり、仕事したりと、それなりに楽しく暮らしています。
脳内は常に恋や孤独感でいっぱい、なんて時もあるけど、日常生活は普通に送っています。
ホントはもっと、出会いに繋がる行動をした方がいいのかもしれませんが…
でも、私の財布の中には、以前鈴木さんから受け取った一万円札がまだ入っています。
これは飲み会の時に、私が鈴木さんから差し出されたお金を受け取らなかったら、彼が私の鞄の中に突っ込んできたお札です。
もう半年近く経つのに、まだ私はそのお札を使っていません。
いざという時の為に、この一万円札は財布に入れておこう、
そんな大義名分を自分の心の中で唱えて、名刺を入れているポケットにしまってある一万円札は、でもやはり使う気になれなくて、いざという時でもお金をおろしに行ってしまっています。
まさか鈴木さんは、そんな風に取っておかれてるなんて思いもしないことでしょうね。
好きな人からもらった物でも、所詮物は物。
そう思うのに、私はついつい取っておきたくなる、乙女ちっくなところがあります。
過去に好きになった男性たちの物でも、我が家で灰皿がわりに使ったツナ缶とか、部屋に置いていったシャツとか、なかなか捨てられずにいました。
まぁ今はどれも捨ててますが。
やはり、もう好きじゃなくなった時や、いい加減思いを断ちたい時に捨ててきました。
鈴木さんにまつわるものも、いくつか捨ててきています。
でもやっぱり捨てる時に、寂しい気持ちになりました。
この一万円札を使う時は、どんなタイミングで、どんなことを思っている時になるのかな?
こうやって書くと、私はセンチメンタルな乙女ちっくな気持ちなのですが、はたから見たら面倒くさい怖い感じなんでしょうねー。
乙女ちっくな人間は、本人は健気なつもりでも、両思いじゃなきゃ重くて怖いと思われがちですから…
鈴木さんから渡されたお金を大事にとっておいてるなんて、友達にも誰にも話していません。
それでも、たまに名刺を取り出す時に
「あ、このお金は…」
と心の中で思っています。
恋はともかく、せめて金運アップになる御利益でもあればいいんですけどね。
振った女にまだそんな風に思われる鈴木さんは、羨ましくもあり、可哀想にも思えてしまう、お給料日前でした。
…てかこの残高で月曜日までもつかしら…
これ以上貯金をおろしたくないけど…