私はなるべく、ウグイス嬢のような声で電話を取ります。会社内限定ですが。
鈴木さんからの内線を取ると、つい動揺からか、
「お疲れ様です、鈴木です」
と声が聞こえたタイミングで咳き込んでしまうことがよくあります。
今日も咳き込んでしまい、電話の向こうで鈴木さんが笑いながら
「すみません」
と言っていましたが…和やかな頃にはもう戻らないんですよ!
以前鈴木さんとギクシャクした時に
「僕は今まで通りに接しますんで、よろしくお願いします!」
と言われたことがありました。
その時は、一瞬突き放された気持ちになりつつも
「避けられたりしないだけ、有り難いことだな」
と良かった探しをして、前向きに受け止めました。
今思えば、ホント、冷たい発言だなって思うんですけどね〜。
関係修復の為に何か行動しようって気持ちは一切無いのね?って感じですよ。
よく、「欠点やマイナスなネガティブなことばかり考えずに、◯◯だから良かった、と思ってポジティブに捉えた方が幸せになれる」という言葉を聞きます。
その言葉と共に思い出すのが、菅野彰さんのエッセイに書かれていたエピソードです。
昔、ウィスキー?何かお酒のCMで、バーの客の男性が
「病気の子供がいるので、お金を貸してください」
と女から言われて、お金を渡します。
その後マスターだか連れの人だかに
「さっきのは嘘だよ」
と、騙されたんだと教えてあげるのですが
「良かった。じゃあ病気の子供はいないんだな」
と笑顔で言ってお酒を飲む。
というのがありました。
そういう価値観ってどうなの?男のカッコつけに疑問だ、と菅野さんは思った、というエピソードだったと思うのですが、当時はそういう懐の広い男がバーでお酒を飲むのは、大人でカッコいい!というイメージだったんですね。
確かに最近ではもう、ちょっとこういう男性像って世間には無い気がします。
マイホームパパが持て囃される時代ですからね。
「知らない女に渡すお金があるなら、子供にお土産買って!
ってかバーで飲んでないで、早く帰ってきて子供の面倒見て!」
とか言う女が多そう…
まぁでも、こんな風に騙されても笑って流せる男性はカッコいいとは思いますが、進展しようのない間柄で無駄に良かった探しをするより、サクッと切った方が良いケースは多いですよね、多分。
というオチを書きたかったのですが、ウィスキーのCMのことを書きながらもう一つ思い出したことがあります。
先日Twitterで子持ち既婚の友人が
「髭の脱毛の広告で、脱毛したら仕事に行く時間に余裕が出来る、みたいなこと書かれてたけど、仕事じゃなくてその浮いた時間で子供の面倒見るって発想無いの?」
みたいなことを呟いていました。
私はビックリしました。その友人の視野の狭さに。
「多分、髭の脱毛のターゲットは独身男性だからだと思うよ」
と返信したら
「あぁ、ターゲットが違うんだ。確かに既婚で小さい子供がいる男性より、独身男性の方が髭の脱毛に行くよね」
と納得してくれましたが、子持ち主婦にとって
「男=お父さん」
が当たり前だと思ってるのって、ちょっと怖いです…
それって「結婚してて当たり前。子供がいて当たり前」って思ってるってこと?
今の広告業界って、かなり家族ものにはナイーブになっていて
「パートナーがいない人は不幸」
と思わせて炎上しないように気を付けてるのになぁ。
結局、良かった探しって自分の価値観とか視野次第であって、そして目につく悪いところも自分次第。
でも下手に嫌な気持ちを倍増させたり、良かった探しをしたせいで見切りをつけるタイミングをズルズルと先延ばしにするのも、なんですね。
今は私は鈴木さん以上に仮想通貨に夢中ですが、これもタイミングが難しいです。
価格が下がると慌てて売って損してしまう「損切り」をする人、価格高騰中に買ってしまいその後暴落を味わってしまう人、がたくさんいるし、私もうまく見極められないまま買ってしまったタイミングがあります。
で書いた男性は最高にお馬鹿さんですが、でもそんな理想通りのタイミングで売買できる人ばかりじゃないんだな、と改めて思いました。
ご存知のように、私は執着心が強いタイプなので、急落してもグッと我慢するだけでなく、急落のタイミング、高騰し出したタイミングで追加入金して、どんどんはまり込んでいます。
過去の暴騰後の急落、そこからの回復を見つめ、またきっと上がる!底値自体は上がってる!と信じていますが、いつか大損ぶっこくかもしれません。
今回分かったのは、複数の銘柄を同時に買うのが安全ということ。
ん?これって好きな男を複数人作っておいて、すぐに本命を絞り込まない方が良いっていう恋愛部長の教えに通じるものがある?
好きな人を妄信的に信じるのも素敵ですが、自分自身の本当の幸せは何か?を考えて、
「このまま、この人を信じ続けていたら、私は不幸になるな」
というタイミングが見えたところで切る、としないと、被害が大きくなることもあるのかもしれませんね。
ウィスキーのCMの男性も、もしかしたらその後何度も詐欺に引っかかって、笑っていられなくなるかもしれないしさ。
何でもかんでも、他人の悪意や、ナメられた態度まで良かった探しで見て見ぬ振りし続けていたら、いつか不幸な気持ちになるかも?と思うと、怖くなるのでした。
ところでAmazonで「良かった」で検索すると「これで良かった」と良かった探しをする本が多種多様ありました。
こういう恋愛的な良かったもあれば、知識的なこととか、旅行のこととかあるのですが
私が驚いたのは、検索して一番最初に出てきた本が
- 作者: デイヴィッドベネター,David Benatar,小島和男,田村宜義
- 出版社/メーカー: すずさわ書店
- 発売日: 2017/11/01
- メディア: 単行本
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いきなり「生まれてこない方が良かった」という、そもそも人生全否定なものだったことです。
なんなんだろう、この本…さすがに生まれてきたことくらいは、良かった探しがしたいわ…