以前恋愛本コーナーで見かけて、宇野千代のエッセイを買ったことがあります。
で、買ってすごく良かった!
宇野千代は奔放な恋愛体質の女性だったと有名ですね。
1897年生まれで、1996年に98歳で亡くなった小説家だった宇野千代は、3回か4回結婚し、他にも恋愛をたくさんしていて、その詳細をエッセイに書いていました。
教員をしている時に、職場の男性と恋愛関係にになったのがバレて退職することになったり、
旦那さんと北海道で暮らしていたとき、小説のことで上京することになって、駅では旦那さんにラブラブで見送ってもらったのに、東京で出会った男性に一目惚れして、そのまま同棲し始めてしまったり、
それ以外にもたくさんの恋をしていたそうです。
彼女は好きな人が出来たら、積極的にアプローチしていたそうです。
仕事で会った男性を気に入ったら、サッと近付いて目を見つめて
「私、あなたのこと好きよ」
と言って口説いていたんだとか。
それだけに失恋をするのともあったそうですが、彼女の失恋の乗り越え方は、
「部屋に篭って、とにかくワーワー泣いて暴れまくって、スッキリしたら外に出掛ける」
というものだったとか。
とにかく、いつまでもウジグジと悩み続けたりしない!と書いていました。
それでも教員時代の恋のお相手との失恋話は、やはり悲しいものだったそうです。
退職させられて海外に住むことになり、彼から最初は手紙が届いていたけれど、それが徐々に疎遠になり、不安になって帰国してみたら、すでに彼は自分のことは忘れて他の人を選んでいたとか…
単発で一つ一つの恋を読むと共感出来ることも多いのですが、それを短期間で複数人の男性としているってのがスゴイ!
別れた男性とも、その後も交流を持ち、新たな奥様と一緒に看病をしていたり。
てか宇野千代が一時一緒に暮らした画家の東郷青児の人生も凄すぎます!
結婚しているのに別の女性とも式を挙げ、直後に更に別の愛人と情死未遂をし、更に新たに現れたら宇野千代と付き合う…ということを数ヶ月内でやってるんですよ⁉︎
私はこういう、大正・昭和に奔放に恋をした女性のお話が大好きです。
当時も不倫や奔放な恋愛は批難されていたはずですが、それでも突き進んでいて、それはそれで女としてカッコイイ!
宇野千代とは全くタイプは違うけど、吉行淳之介の愛人だった宮城まり子のエッセイも、すごく可愛くて大好き!
好きな男性が出来たら、飛び込んでいって、やるだけやってダメならスパッと諦める宇野千代も、
不倫なんてダメだと思いながらも、彼には他にも女がたくさんいるのが分かっていても
「モテない男なんて、つまらない」
と言いながら、精一杯可愛く甘えて愛された宮城まり子も、
自分の仕事は楽しんで頑張って、男性とは女として全力で接していて、私の理想の人生です。
ちなみに宮城まり子はまだご存命で、吉行淳之介と暮らしていた頃から障害のある子供の支援施設を経営しています。
過去に職員がお金を持ち出したり、問題もあったようですが、子供たちに歌の楽しさを伝えたりしてきています。
ご自身は若い頃に、吉行淳之介の子供を堕胎されているとエッセイで書かれていました。
私は若い頃からこういう人生の先輩の恋のお話を読み、だからこそ、「イタイ」と思われるような恋をしてきました。
でも私には彼女たちみたいに、男性に惚れられて恋に落ちて、みたいなことは出来ないのですが。
最近読んだ佐藤愛子と桐島洋子の対談で、佐藤愛子の最後のラブロマンスは50歳の時だったと書かれていました。
「だいたいお互い結婚生活がダメですからね(笑)」同じ家に60年の佐藤愛子さん×友人とシェア暮らしの桐島洋子さん対談【後編】 | ダ・ヴィンチニュース
79歳の桐島洋子は、もう一度恋をしてみたいそうで。
いやーこういう、自分の人生も恋も楽しめる女性、いいなー!
昔より今の方が女性は自由になってるはずなのに、恋活だの婚活だのをしないと「怠けてる」なんて言われるのは、ホントつまんないわー!
彼女たちが何歳になっても恋が出来たのは、美しく魅力的な外見に加えて、自立した生活が出来る才能があったからだと思います。
彼女たちにとって、恋愛は仕事の原動力であり、ネタでもあった。
「老後独りじゃ寂しいから」とか
「お金が不安だから」とか
そういう理由で恋愛をしていなくて、
「ダメな男でも惚れたから」
とガンガン進んでいって、目の前のことを自分の力で変えようとしています。
私の祖母、曽祖母くらいの年齢の女性たちがそんな風に恋愛して仕事して生きてきたのに、
そうやって女性が生きやすくなる道を切り開いてくれたはずなのに、
まだ私たちは明治政府が打ち出した「良妻賢母」の価値観に縛られています。
「女は家庭を守るのが仕事」なんて、あれ明治政府が言い出したことで、そんな価値観江戸時代以前は無いのに。
もちろん私は彼女たちのような才能のある人間では無いし、好きになる男性もただの一般人です。
でも、ただの普通のどこにでもいる男性を好きになるのは素敵なことだけど、その男性が自分を選ばなかった時に、
いつまでも引きずる程度の男か?
という気持ちにさせられます。
彼女たちのことを、アバズレのように思う人もいると思います。
そりゃ、たった1人の男性とキチンと恋をして結婚して子供を育てられる人は素敵です。
でも、そうなれなかった男性のことをいつまでも引きずるよりも、また新たな恋に向かっていける女性も素敵。
ただ男漁りだけしてるわけじゃなく、仕事は仕事で自立してやっていってるだけでもスゴイ!
私は元彼を引きずり過ぎてしまったし、その間にキチンと婚活をしていたらなぁと思うこともあります。
先日失恋した人なんて、うまくいくはずがなかったし、身の程知らずな憧れの恋で、好きだなんて言うことさえ他人から馬鹿にされそうで、そう思っては卑屈で惨めな気持ちになってました。
だって彼が選んだ女性は、私より15歳も年下なんですもん。
もう生まれ直さないと無理!いっそ生まれてこなければ良かったくらいに思います。
元彼は私の1歳上でしたが、それでも男性は若い女性と結婚出来るし、そういう若くて可愛い女の子を最後は選ぶのかな?と思うと、惨めな気持ちになりました。
でも思い出すと、20代後半からずっと私は、自分の年齢を足枷に思って、「東京タラレバ娘」たちのような気持ちで過ごしていました。
宇野千代は40代でも恋をして好きな人と結婚していたのに、なんなんでしょう?
思い切り恋をして良いのは20代まで、なんて暗黙のルールがあるのは、もちろん子供を産む産まないという選択肢があるからですが、
でも上記の女性たちの中には子供がいる人もいない人もいて、そんなこと関係なく恋をしていたようです。
「身の程を知って、高望みしないで、相手を見つけろ」
なんて、人生の先輩女性たちは言ってません。
もっと恋に人生に、自分のやりたいことを謳歌する女性を増やしていきたいと思っていたはずなのに、勝手に現代人は
「少子高齢化が〜」
とか言って、視野を狭めている気がします。
そういう現代人の価値観の枠に入らず、窮屈で苦しくて惨めな思いをしているなんて、勿体無いことですよね。
身の程知らずな恋で恥をかいても、それはそれで私の人生の糧。
年齢を気にせずに恋を楽しむ為には、自活して、身綺麗にして、その年齢ならではの美しい女性になれる努力をしないとな、と改めて思いました。
魅力的なアラフォー女性は、世の中にはたくさんいる!
若作りをするのではなく、年相応の魅力を手に入れたい!
そして、好きな男性が出来たら、年齢や条件を足枷にしないで、思い切り頑張りたい!
この年齢まで独身だからこその楽しさを、先輩方を見習って手に入れたいな、と思います。